今回は、村田移住歴16年目、ガラス工房「キルロ」の志賀さんご夫妻にお話をお伺いしてきました。
取材中は、志賀さん夫妻から醸し出されるユーモアさ、斬新な言葉の選択に、笑いが絶えない時間に。
志賀さん夫妻のちょっと笑ってしまう体験談、村田の人の特徴や良さが垣間見えるエピソードなども一緒に
紹介していこうと思います。
宮城出身の志賀さん。
大学でガラス細工をはじめ、伊豆にある有名なガラス工房に就職。
ガラス工房で10年ほど働いた時、独立を決意。
志賀さんには、ゆくゆくは自分の故郷に戻って、自分の工房を持ちたいという夢がありました。その時には、すでに同じガラス作家の奥様と出会っており、一緒に工房を始めるために、二人で宮城に戻ることにされたそうです。
仙北は古川や三本木まで、仙南は亘理にも物件を見に行ったりしていた。
でも、どうもピンとこなくて。
そんな時、父が村田の道の駅に知り合いがいるからと、村田をを訪れることに。実際はテレビで見ただけの全然知り合いじゃなかったんだけどね(笑)
でも、道の駅の方から職員が管理している物件があるから「ちょっと行ってみ!」って言ってもらえて、そこが今のガラス工房兼自宅。
家賃は1万円で、リフォームも好きにしていいよっていう話もあって、じゃあ、お借りしてちょっとやってみようかなって思えた。家賃1万円という条件なんてそうそうない。畑もあって、お家も工房もあって、ほんとにこの金額でいいの?と思ったけれど、現在、この家に住んで16年目。
家賃も変わらず1万円(笑)
空き家で、管理する人がいなくて大変な状況だった大家さんと条件がマッチしたんだと思う。
地域の方から「工房の名前は英語じゃだめだからね。読めないから漢字ね。」ってアドバイスを受け、最初は本当に漢字で書いたの。
輝かしい瑠璃の炉「輝瑠炉(キルロ)」って。そしたら、周りからはなんだか暴走族みたいだなって(笑)「夜露死苦」みたいな感じになっちゃって。
あまり評判がよくなかったということで、今は横文字に。一応はやったからね!地域の人もきっと理解してくれたはず(笑)
ゴミ捨て場が車で行くくらいに遠いことに衝撃を受けましたね。
一番の驚きだった。2ヵ所選択できる位置にあって、どちらでもいいですよって言われたものの、どちらとも遠くて、「すごいな、これ」って思った。
ガラス工房に努めていた時も、離島で良い感じの田舎だったんだけど、
ただ、ゴミ捨て場はすぐにありましたけどね(笑)
ゴミ捨て場の遠さ以外は田舎を経験していたからそこまで驚きはなかったかな。
一方で、奥さんの方は京都出身だったから、「河川消毒」の作業にやってきた地域の方のなまり「かしぇんしょうどく」が分からなかったり、いずれ使おうと積み上げていた農業用のネットを見た地域の方からの「こいづ、かげっといいんだ」と言う言葉など、最初は全然話が通じないことが多々あった。
婦人防火クラブなどの風習も、初めてで、「そうなんだー、そうやるんだー」と、もうわからないけどやるしかない!みたいな感じでだんだんと慣れていった。
当時、ここに来た時は結婚したてだったから、二人で仲良く遠いゴミ捨て場に歩いて行ってたの。そしたら、新年会の時に、近所のおばさんから「ながいい~ごだね~♡(仲いいね~♡)」「あんなの久しぶりに見たわ~」って言われたりもしてた(笑)
*ほどよい距離感がいい
仙台や大河原、白石などにも行きやすいなどの位置的なものがすごくいいところ。
*良い感じの「隔離感」
この場所に限ってかもしれないけれど、良い感じで隔離されているんですよ。これが村田の町中だったらまた違う感覚かもしれない。
比較的、自分の世界をつくれる、良い感じの隔離感を得られる土地が村田にもたくさんあること、そういう意味で感謝かな。
*子どもを育てる環境の良さ
子どもを育てる環境としては、やっぱり自然が多い方がいい。
町中に住んでいる子はこういう環境にはいれないからね。
自然と触れ合う機会があることで育まれるものが違うと思う。
*里山の「村田」。人と自然の間でも「ちょうどいい」
畑や山菜、野草などが好きなら素晴らしい土地
鹿やイノシシとも出会うけど、ここは「野うさぎ」とも出会ったりする。
ある日、奥様が庭で草むしりをしてたら、うさぎとご対面。思わず、おいで~ってやったら、うさぎが勢いよく自分の上を飛び越えていくという体験も。
里山って動物も暮らしやすい環境なんだと思う。
そういう意味では、里山である村田は、人と自然の間でもちょうどいい距離感なのかもしれない。田舎だけど、人と会わないほどの田舎ではないのがまたいい。
*人に関する興味、関心が強い村田
最初に感じたのは村田の人って面白がりなんだなって思った。
新しい人が来たなって近所の方が見に来たり、今日は見たことない車が止まっているわねって見られてることもよくあること。
でもその感じが面白かった。
ただプライバシーを半分捨てないと辛いところもあるけどね(笑)
*面倒見がいい人
村田には面倒見がいい人がちゃんといて。ずっと心配し続けてくれる人がいる。そういう意味では、日々すごい感謝している。
作っているものが嗜好品だから、村田町内の人にお客さんとして来てもらうのはちょっと難しいかもだけど。でも、様子をまめに聞いてくれたり、ちゃんとやっているのか?って心配して声を掛けてくれるの。
*住む場所の選択肢が広い村田
使っていない古い家から利便性のいいアパートまでバリエーションの幅が広い。自分のやりたいことによって選べる、選択肢があるのが村田の良い所。「ポツンと一軒家」もやりやすい。ちょっと入れば、自分だけの空間になるような。でもちゃんと行けるところにスーパーはあるし、学校で勉強もできる。
陶芸家などものづくりをやる人には良い土地だよね。
家族で近所につくしを獲りにいった時のこと。
それを見ていた近所の方から「大変なのが?」って一言。
生活が大変だと思われたみたいで。
ただ、つくしを炒めて食べたりするのがみんな好きなだけだったんだけど(笑)気にしてみてくれる人、声をかけてくれる人が多いのが村田の良いところ。
ガラス工房の他にも、6~7年前から、子どもから大人まで地域の人たちが参加できるボランティアの企画を行っている志賀さん夫妻。
子どもの夢を陶芸やガラスでリアルに再現するという取り組み「夢のコップ大賞」は、見返りのない完全ボランティア。
最初はうちの工房だけでやっていたけど、今は周りの陶芸家さんたちにも協力してもらって開催。
村田町への恩返しも含めて。
村田の生涯学習に貢献できたらなという思いで毎年継続していると話されていました。
「村田といえば、ガラス工房キルロ」を目指したい!
村田に行ったらあのガラス屋さんがあるよねって、村田の看板みたいな工房を目指したい。
あとは、今の暮らしがちょうどいい。これからも、忙しすぎず、でも暇でもなく、ちょうどいい感じでマイペースに続けていきたい。
この自然の景色も守っていきたいし、家族で楽しく草むしりをする生活などもずっと変わらないでいけるといいなと思う。
ガラス工房キルロ ホームページはこちらより
「先輩移住者インタビュー」3回目だった今回。共通して見えてきた村田の魅力がありました。
・村田には気持ちのいいくらい素敵な大家さんが多くいること
・ものづくりをする環境にはとってもいい立地なこと
・いい感じの隔離感または自分の世界をつくりやすい環境があること
この3つはこれまでにインタビューをさせていただいてる方々に共通していると改めて感じました。
そして、ふと思ったこと。移住の大きなきっかけともなっている大家さん。
大家さんインタビューシリーズなどもあったら、もっと村田の人の魅力が見えてくるかも?なんて思ってしまいました。
そして、今回のインタビューでは、新たに「自然ともいい距離感をもっている村田」、「いろんな住み方の選択肢がある村田」の2つを村田の魅力として発見できたことも新鮮でした。