むらたビトvol.2.宮城県村田町教育委員会 三浦純さん

「子ども心を忘れない村田のピーターパン」

宮城県村田町教育委員会 三浦 純さん

 むらたビトインタビュー第2回目はアクティブ公務員の「三浦純(みうら・じゅん)さん」にお話をお伺いしました。

現在、村田町役場の職員をしながら村田GPS*の活動や東北トークフォークダンス協会*の会長として村田の地域活動を盛り上げています。

地域活動のきっかけは小さい頃の楽しい思い出

「自分の小さい頃は近所のおんちゃんに遊んでもらったという記憶があって、

写真はそんなに残っていないけれど、近くの小学生を集めて遊びに連れて行ってくれる

近所の大人がいたんですよ。わざわざ山形に連れていってくれてぶどう狩りをしたり、

ジャスコに連れていってもらったりして、すごく楽しかったんだよね。

おもちゃとかつくってほしいものがある時も自分の親じゃなくて近所の大人をあてにしたりしてね。」

こういう思い出が地域活動の原点にあると話されます。

 

中学・高校と長い期間携わっていたジュニアリーダー*の活動も子ども会や

野外活動にかかわっていくことになった大きなきっかけの一つかもしれない。

ジュニアリーダー時代の仲間とは強い絆で、職場に入ってからもよく集まって

他の自治体のお祭りに行ってパフォーマンス賞をとってきたり、

次はどこにいく?ってみんなで楽しんでいたそう。

 

 自分たちの世代と比べちゃいけないけれど、今は子どもの数が少なく、

子ども会の夏休みイベントも現地集合・現地解散の企画が多い。

 昔の子ども会のイベントの概念って「みんなで一緒にバスに乗って楽しんで帰ってくる旅行」というイメージ。

でも、今は用意されているものを食べてすぐ帰ってくるバーベキューや現地集合・現地解散のボーリング大会。

これじゃ、家族といくのとほとんど変わらないし、なんだかつまらないなと思って。

その後、会員同士いろいろ話し合い、ボーリング大会後に花火大会を追加したり、集会所で縁日を行うなど、

少しずつ、変えていく努力をされたといいます。

 そして、今の子どもたちにもっと楽しい記憶を残してほしい。

 

夏休みを楽しませる思い出をもっとつくろう!と始まったのが村田GPSの活動でした。

きっかけは自分たちが!と始めた村田GPS

↑↑今回のインタビューにサプライズ同席をしてくださったお仲間

私の無茶ぶりなポーズ依頼にも心よく付き合ってくれました(笑)

ほとんどの場合、きっかけを見つけられなかったり、見つけたとしても二の足を踏んでしまう。

だったら、きっかけづくりを自分たちがして、そこに興味がある人が混ざってくれたらいいなと思って始めた村田GPS。

 現在のメンバーは約30名。最初は保護者で始まったけれど、今は独身者や丸森、名取などの町外のメンバーも

増えてきました。

 これまで、子どもたちを対象に、流しそうめんをはじめ、肝試しやゴムボール遊びなど様々な活動にチャレンジ

されてきたといいます。

 最近はメンバーの子どもたちの成長に伴い、部活の付き添いなどで忙しくなってきたため、

むらた音頭とひなめぐりの2つを中心に活動。

 

 企画を出す時はいつも飲みながらメンバーと話しているから最初はとんでもない案がたくさん出てくることが多くて(笑)

でも、どんなアイディアでも本当に実現までかなえちゃうから楽しくて、コアメンバーも離れないで集ってくれるのかも

しれないですね。

ちょっとした遊びもいつも本気な大人たち

 ある夜の会でのこと。8時間むらた音頭を踊りつづける「むらた音頭8時間耐久」という

とんでもないアイディアが出てきたんです。

 時間が経つにつれ、さすがに8時間ってやっぱりやばいよね(笑)ってなって。

でも踊り続けることは断念してもみんなで8時間になるようにいろんなプログラムを考えた。

流しそうめんや縁日などに加え、救急法、防犯講演などを行った時も。

 また、むらた音頭ではせっかくならいろんな年代の人たちが入れるような仕組みをつくろうと

地域のおばあちゃんたちを先生に迎えたり。

 この時も村田GPSのメンバー自身が事前に先生に習う本気具合。

「本気の水鉄砲バトル」では、変態チックのドラえもんがいたり、段ボールにずっと隠れている男の人がいたり。

段ボールに隠れる人なんか、わざわざ丸森からきて、たまに段ボールから顔を出すだけなんだけれど毎回来てくれる。

子どもたちみんなに狙われて、最後はぐちゃぐちゃになって帰っていくみたいなね。

それでも楽しいから来てくれる。自分たちも楽しくなかったらやらない。

 

今年はなんにもできないけれど、ドラム缶のお風呂に入る会みたいな企画ができたらいいな。

子どもたちに火起こしや裸の付き合いを体験してもらいたい。と構想を話す三浦さん。

子どもたちにも遊び心を!

 千葉県の流山市で行っていた黒ひげ危機一髪の水ver「噴水危機一髪」を村田でもやってみたことがあるんです。

手作りの噴水を缶で隠して、蛇口をもっているその人の感覚で水を出す。

やっている内に戦いは熱くなってきて、その内、MY水鉄砲をもってくるととんでもない人たちが現れたり。

原始的だけれどこういうのが一番楽しいんだよね。

(↑↑上の写真、右側をよくみるとニヤニヤしながら蛇口をひねっている大人たちが見えます)

 

 今の子どもたちはギリギリセーフを知らない。安全第一で損得勘定で動いてしまう。

でもやっぱりちょっとした遊び心がないとね、楽しくないからと話します。

三浦さんのお話は、もしかしたら、それを教えられるのはこういう地域の大人たちかもしれないと思わせてくれます。

子どもたちに変化と感動を与える「トークフォークダンス」

 なぜトークフォークダンスをやることになったのかと尋ねた際、三浦さんは「ただやってみたかったから」と笑顔で答えます。この言葉からは好奇心旺盛で思い立ったらすぐ行動する三浦さんの一面が見えてきます。

 親子行事って親子揃わないと子どもが寂しい思いをする。

トークフォークダンスならもし自分の親が参加できなくても地域の方々がいる。

そう思って実施に踏み出したといいます。

 最初は自分自身がやったことないからどうなるかわからなかったけれど、

最後に一つの円になって振り返りをしたら子どもたちからは「私は〇〇さんの話が記憶に残っている」と

いう声が聞かれ、内容は頭には残っていないんだけどもちゃんと感動をしていたことが分かって、

「トークフォークダンスの影響力は大きい」と実感されたそうです。

 ある学校では主催のPTA会長が3年生だからと不登校気味の子をがんばって連れてきたところ、

地域の大人たちから「君がんばってるね」、「たいしたもんだよ」などの誉め言葉を受け、

次の週から登校を始めたり。それだけではなくて、「やっぱり俺、高校行きたい。受験したい。」となったといいます。

「中学1年生でトークフォークダンスに出会えていたらもっと友達ができていたかもしれない」とそんな声も。

 このほかにもトークフォークダンスをきっかけに、親とも近くなって話ができるようになったりと、

変化が現れる場面を多く見たことでやめられなくなったと話します。

 

 今、行っている活動の中で一番興味があるのは「トークフォークダンス」。

本当にいいものだからと、自らが東北トークフォークダンスの会長になり、村田だけではなく、いろんなところに

広める活動もされています。この中に質問力や発言力などいろんな要素を入れていきたいと話します。

トークフォークダンスが持つ可能性に今後も期待したいですね。

村田には子ども心を忘れない楽しい大人たちがいます。

そして、子どもたちに楽しみと学びを提供していくかっこいい大人たちがいます。

今回のインタビューでまた一つ、村田の魅力を発見したような気がしました。


【村田GPS】

村田町の元気なお父さん、お母さん、そして子どもたち、その他たくさんの地域の方々を巻き込んで、村田町を知り、村田町を楽しむ親子活動サークル。

 

*むらた音頭大会*

水鉄砲バトルから始まり、かき氷早食い大会、昭和ヒットソングダンス、むらた音頭といくつものイベントを掛け合わせた一大イベント。

 

*ひなめぐり*

村田商家の蔵などに飾られたひな人形を見て回る催し。

村田GPSでは子どもたちに着物の着付けを行い、着物で蔵通りを歩いてもらう体験を提供している。

 

【トークフォークダンス】

対話型のワークショップ。お互いに向かい合わせで二重の輪になって座り、内側の輪の人と外側の輪の人が、司会者の出すテーマについて交互に対話。

テーマが変わるごとに隣の席に移動して、次の人と対話していくプログラム。

【ジュニアリーダー】

子ども会活動の支援や地域づくりに参画する年少ボランティアのこと。子どもたちのため、地域のために、自分の力を発揮したい気持ちがある中学生~18才の方が対象で様々な企画の立案・実施することでコミュニケーション力や発言力などのスキルを学ぶことができる活動。